2011年7月13日水曜日

うた

いえいえ、こう年齢を重ねてまいりますと、
趣味嗜好というものはそっと変わって行くものでございます。


例えば、肉にガッついていた若い頃から
白身魚をこよなく愛するおじさん口になっていたり。


例えば、ドンパチよろしくアクション映画に爽快感を得ていた10代の私は、
涙がなければ映画と認識しない40代後半を送っているのであります。


そして、私のような仕事をしている方なら
必須となります音楽もまた然りであります。
よろしくロッケンロール、JAZZだぁ、ブルースだぁと
もろもろ流行の上っ面のかすみ液をすくうようになめて過ごしてまいりました時代が
もういい加減人生の折り返し地点を通過しますと、
なんと驚くなかれ、これがここへ到達するのでありますよ。


それは、演歌!


よろしいなぁ演歌。
日本の心だすなぁ演歌。
コロコロ回るこぶし、よろしいですなぁ演歌。


お酒は全く飲めませんけど、
多分ぬるめのカンがよろしいんでっしゃろなぁ。


肴はあぶったイカでええんでっしゃろなぁ。


日本人は日本海が似合うんでっしゃろなぁ。


津軽海峡もよろしいですわなぁ。


もう、向こうのもんこう握ってこっち持ってきて、パァって投げる感じ。


よろしいですなぁ演歌。




只今、YouTube上でさゆりちゃんが流れております。


思わず一人連絡船に乗り凍えそうなかもめ見つめ
泣いてみたくなる津軽海峡冬景色が流れ、
くらくら燃える火をくぐってあなたと越えたくなる天城越えで涙し、
ちょっとムーディーにウィスキーがお好きでしょ!
なんて言われようもんなら、一口も飲めない私だってお好きです!って言いますって!
もう少し喋りますって!


さゆりちゃーん!つって。




10代の頃、嫌悪していた親父達の嗜好はまさしくこのあたりだったのでありましょう。
あの頃はわからなかったんですねぇ。
私、親父達の年齢になりまして、しみじみ日本人である事を実感するのでございます。


本日、仕事の打合せで個室に通された私は、
担当さんが来られる数分の間。
口ずさむのであります
「ふんふんフンフン、ふふふフフン、ふふふふフンフンフフン、ふふふふふん…」


ガチャッ。


「お待たせしました」


アッ!


「どうかされましたか?」


いえいえ…


つつがなく打合せが終わり一礼をして退出しようとした瞬間、
担当さんがおっしゃいまして。


「雨の慕情はよろしいですなぁ…」




私、八代亜紀も好きであります。