2011年2月26日土曜日

H氏

もう春はすぐそこ、あったかい日差しに誘われてお茶飲み友達に電話を入れまして。
こんないい天気にお仕事なんかできませんわって言い訳をしてお茶をいたしました。


お茶飲み友達って言っても、以前サラリーマンしてました頃の社長さんでございます。


このたび会社が倒産いたしまして、
整理が終わったのでブローカーとして再出発したという強者でございます。
さぞかし、落ち込んでいるだろうと思われるのでしょうね皆さんは。


イニシャルトークで参りますからHさんとしておきましょう。
このHさん、すこぶる元気なのでございます。
お歳も今年61歳?の御大でございます。大体でございます。
結構なお歳なんですよ。一般的に考えるともう終わりですよ。
力つきましたって老後を迎えるもんですよ。


でもHさんは違う!
また立ち上がっちゃったんですな。
まだお子さんが小さいから嫁はんに働いてや!って
言われてるらしいんですけどね。


「あら!お元気そうですな」
『そうやねん!


「なんかええことでもあったんでっか」
『そうそう、朝から嫁はんが仕事の面接で早よ出て行ったからね』


「なんででっか、奥さんと会わんほうがええんですか」
『いやいや、今までたっぷり溜まってるエロビデオを観れたからね』


「えー!まだ観てますか!元気でんなー!…したんでっか」
『そうそう!したした!もうよかったわー』


「えーしたんでっか!!ほんま元気でんなー!!!しんじられへんわ!」
南森町の交差点でおっさん2人は大声で爆笑するのでございます。


基本的にこのH氏と話をするとエロ話になってしまうんですね。
私もH氏もスケベではあるんですが、エロ話はこの2人でしかしないんですね。
これは不思議です。


もう会社が倒産したり、金融機関からの借り入れをチャラにしたり、従業員を解雇したり…。
一連の手続きをしてる最中でも、エロ話はしてましたな。


アホな話もしてました。
多少、渦中の時は投げやりなエロ話をしてましたが、
絶対周りの人には、この人が倒産整理手続き中であるなんてわかりませんよ。


で今、全ての整理が終わって再出発を果たしたわけで、
エロ話にも拍車がかかりますな。
私もアホな話のネタふりするわ、
H氏がボケて、漫才の掛け合いでございます。


私が勤めていた頃もアホな話の掛け合いはしていたんですが、
今はほんまに漫才なんですね。
歳を重ねたH氏が本当にボケてくれますし、
多分半分は天然のボケになってきたもんで本気で笑えるんですよ。


「いやー、今多分、世界中で一番幸せなんでしょうなー」
『ほんまやで、お金も無いし、名誉も無いし、
 責任もほとんど無くなったけど、生きて行けるんやもんなぁ』


「そうそう、もうここまできたら怖いもんありまへんやろ」
『ない!断言できるわ。
 もう肩の荷を下ろしたから軽ぅてラクラク。おもろいことだらけよ』


「おもろいでんな、世の中は〜」


私たち、一種悟りの境地に達しまして。
喫茶店の店内を見回すと、私たちを除いて笑っている人が皆無なんですね。
約2時間、笑いっぱなし爆笑のひとときでありました。


「なんかこれからはおもろいことして、お金儲けしたいですな」
『いや、お金儲からんでもええから、おもろいことしたいな』


もう人生終盤を目指して走っているオッサン2人、
仕事の本質を知ったのでございます。

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