2011年3月3日木曜日

お参り



世の中はここ数年、不景気の嵐が席巻しているのでございます。
仕事が減り、一つの仕事の価格もガクーンと落ち、
それこそ時代が逆行していく勢いであります。


もうこうなったら、神頼みだぁ〜!
というわけで2〜3年ほど前から住吉大社へお参りにいっております。


毎月最初の辰の日にお参りすれば、商売繁盛、家内安全になるっていう
「初辰まいり」でございます。


初の辰、はつたつ、はったつするって事ですよ。


今月は昨日でございまして、朝から行ってまいりました。
毎月、このはったつさんには、
大阪の中小企業の社長という社長が集合してまいります。
いやぁ、それほどの勢いでありますよ。
もう、わさわさ、パンパン、ガラガラでありますよ。
私を含めて皆さん必死でございます。
右から左から上から下からお賽銭が飛び交って、
住吉大社の商売繁盛をかなえるお参りなんじゃないかって、
巷ではもっぱらの噂でございます。


さぁ、どれだけ社長さんは大変か、必死なのかは
境内で一歩下がって見つめますと一目瞭然であります。


60歳代の髪の毛をバーコードにしながら右から左に貼付けているお父さん、
賽銭箱前の鈴をグルングルン振り回し、ガラガラ!ガッシャーン!って勢いで
2回手を打ち鳴らし合わせた手を額に刷り寄せます。
三角定規の90度角よろしく、カクーンとお辞儀をし
お願いを始められるのであります。


そのお父さんの左隣には、40を超えた女性経営者っぽい方が
これまたしっかと合わせた手に額をくっつけ、
お願いの数々を少し声に出して呟いておられます。


そして私の隣にいるおばちゃん2人組。
「あかんなぁ、借金減らへんわー」
「なぁ、うちらみたいなちっちゃいお店でも
 神さん願いかなえてくれるんやろか」
「そら言わんより、言うといたほうが、
 なんかの間違いでかなえてくれるかもしれへんやん」
「せやな、言うとこ言うとこ」


さっきから場違いの大阪おばちゃん特有の
小さくてもよく通る声で境内を蹂躙しております。


私たちのいる場所は鈴や賽銭箱のあるところまでちょっと距離があります。
もうワレガワレガで詰めかけているわけで2人組も躊躇しているわけであります。


「じゃぁお参りしよか」
おばちゃんは財布に手を伸ばし、
徐に5円玉を手に握り大きく振りかぶったのでございます。


やっ!
小さく声を出し、5円玉は大きく放物線を描き賽銭箱へ
飛んで行くのでございます。


え!私はびくりしまして。


その5円玉は2つとも先ほどの60歳代お父さんのはげ頭へ一直線であります。
お父さんちょっと前のめりの衝撃を受け、キッと後ろを振り返るのであります。


え!視線がこっちへ来るわけですよ。


「私じゃありませんがな〜」的な顔をしまして
「このおばちゃんでんがな」って隣を観ますと


2人とも恭しく頭を垂れておられます。
え〜!でありますよ。


おばちゃん小さくてもよく通るあの声で
「大当たりやなぁ」
「な、ええことありそうやろ」
「ほんまやなぁ、大当たりや」




住吉大社はお参りだんじり祭りでございました。

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