2012年10月16日火曜日

爽やかギャルよ

それぞれ癖のある人々がひしめき合い、
ごった返した都会の街中で。
それぞれ癖のある人々が各々の目的を心地よく果たす為に
サービス業は存在するのであります。

喫茶店、そうでしょう。定食屋さん、もちろん。
本屋さんだってそうですわな。
風俗のお店、きわどく間違いございません。

してワタクシ、DVDなんかをレンタルしてもらえる
大手ショップに参りまして。

平日にも関わらず、たくさんのお客さんでごった返しております。
まさにそれぞれ癖のある人々がひしめき合っていたのでございます。

4枚1000円のキャンペーン中でありまして、
友達に借りて欲しいと言われていた数枚と、
ワタシが借りたい数枚と併せてレジに並んだのでございます。

まぁ、別段トラブルも無くワタシの番がまいりまして。
応対してくれたのは笑顔のカワイイ、
エエところのお嬢さん風爽やかギャルでございます。

もうオッサンが表現するものですから、
古いといわれようが気にも止めません。
こちとら、上機嫌で爽やかギャルに会員カードを渡します。


「はい、1000円キャンペーンのご利用でよろしいですか」
爽やかギャルは、手元のDVDをピッて4枚した後、
ゆっくり顔をワタシの顔と同じ位置に相対して行くのであります。

ワタシの心の中と言ったら
「いやぁ爽やかギャルよ、そうそうワタシと正対してくれたまえ。
じっくり顔を見せてくれたまえよ。グヒヒヒ」

いやいや、ここまで酷くはないにしてもそこそこお楽しみであります。

ゆっくり顔を上げたギャルはワタシと正対し、
笑顔を崩さず「7泊8日でございます」と仰いました。

ワタシ、この「でござい」の「ざ」のあたりでございました。
フラッと一瞬、全く不意に一瞬、目眩を生じまして。

目眩と言うよりも気絶寸前と申しましょうか。
強烈な臭気がワタシの鼻腔を駆け抜け、
脳幹の先端まで辿り着いたようでございました。

爽やかギャルに悟られてはならぬと、懸命に力を振り絞り
斜め3度傾いた上半身を起き上がらさせ、
何事も無かったように顔だけ左に5度振り
「はい」こちらも爽やかギャルよろしく
スマイルを振りまき答えたのでございました。

ごった返した都会の街中で、
それぞれ癖のある人々がひしめき合っております。

そう、一日中サービスと称する拷問を強いられ、
癖のある人々にも振りまく笑顔の安売りに
疑問を呈してはならない環境に置かれた爽やかギャルは、
見事ストレスというナパーム弾に胃の辺りを
絨毯爆撃されていたのでございました。

ガンバレ爽やかギャルよ。
都会はキミのようなストレスを感じている人でてんこもりだ。
かくいうワタシもその予備軍。
そのうちこの臭気が都会のニオイと化すであろう。

そう、ワタシの微妙な身体の揺れを敏感に察知したギャルは
「ありがとうございました」を心持ち
うつむき加減に発したことをワタシは忘れない。

知り合いの変態君なれば、
この上なき幸せと飛び跳ねたことだろうに。

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